
高校生の少年が、薄暗い廃ビルに棲む美しく謎めいた少女と出会うことから始まる連作ミステリ。日常に紛れる小さな違和感を、彼女が静かに解いてゆく。表紙は漆黒を地に、深紅のベルベットチェアと白い制服のコントラストで耽美の空気を立ち上げる。重く垂れた厚手のカーテン、銀のティーセット、指先に弄ばれる細長い小道具——少女を取り巻く小物が物語の密室性をそっと示唆する。タイトルロゴは縦に大きく白抜きで配され、闇に浮かぶ輪郭と静かに呼応する。

著市川哲也
装丁西村弘美
装画まいまい堂
東京創元社 / 2023年
文学・評論