
海を越え、異なる言語のなかで生きる女性の独白を綴ったデビュー作。第60回群像新人文学賞優秀作受賞。「私は私」という帯の言葉が、自己であることの困難そのものを引き受ける。表紙は淡い黄を地に、緑と青と土の色で組まれた三角形が結晶のように画面を埋め、その断片の隙間を白馬と淡い装束の人影が静かに進んでいく。タイトルは中央の白い余白に黒で据えられ、騒がしい色面に息継ぎの場所を生む。砕けた地のなかを単独で歩む構図が、書名「独り」と低く響き合う。

著石川宏千花
装丁城所潤
装画岩本ゼロゴ
講談社 / 2017年
文学・評論