
夜と遊ぶ、というモチーフを抱える物語の下巻。闇色に沈む上半分から、巻き毛の赤い髪に小花を挿した少女がこちらを覗き、黄色く放たれる光の意匠を胸の前に抱えている。下半分は淡い水色へ開け、少女の髪先が水面のように静かに垂れ落ちる。水彩のにじみと素朴な線で描かれた人物は、見透かすような眼差しを残して半身を隠している。白い明朝のタイトルが控えめに重ねられ、夜と昼、隠れることと覗くことの狭間で揺れる気配を、静かに引き寄せる装丁である。

著伊吹亜門
装丁坂野公一
装画水沢そら
小学館 / 2024年
文学・評論