
赤子を背負い、手ぬぐいで頭を覆い、籠を提げて裸足で歩く女の姿。林芙美子が自らの貧しさと矜持を綴った作品群を集めた一冊で、生活の苦さと、それでも前へ進む足取りが書名にそのまま立ち上がる。表紙は深い青の地に水彩で人物を一身に据え、ピンクと黒の縞の半纏、淡い水色の腰巻、結わえた帯の青がやわらかく溶け合う。題字はやや崩した筆致の白い和字で、青を背に静かに浮かぶ。色の質感も筆の運びも、貧しさを語りながら卑屈にならない作家の文体と響き合っている。
装丁片岡忠彦
装画木内達朗
廣済堂出版 / 2015年
文学・評論