
生まれ育った富山に出戻った著者が、変わりゆく地方都市の風景と人々の営みに分け入っていく見聞録。均質化していく「どこにでもある場所」になる手前で立ち止まり、土地の手触りを掬い上げるエッセイ集だ。表紙は粒子の浮く淡いミントグリーンの紙地に、富山駅のホームと停車中の在来線を切り取った写真が角丸の窓のように嵌め込まれている。タイトルは朱色の手書き文字で大らかに踊り、著者名は和の趣ある明朝の囲みで添えられた。柔らかな色面と生活の風景写真が、過ぎゆく日常への眼差しを静かに告げている。
著岸本章
装丁吉岡秀典+佐藤翔子+平良佳南子
彰国社 / 2024年
アート・建築・デザイン