
長く筆を置いていた芥川賞作家による書き下ろし純文学小説。双面神ヤヌスは相反する二つの顔を持つ古代ローマの神であり、谷崎と三島という対照的な二人の文豪を一つの像のもとに捉え直そうとする試みが滲む。黒い枠に縁取られた金地の表紙は、左右が鏡のように対称をなす構成。中央には開かれた書物の影、上方には鳥のシルエットが浮かび、深い陰影が金の艶を引き立てる。表裏一体、二相を一つの像として束ねる主題が、装丁の対称性に静かに重ねられている。

著EverettPercival、木原善彦
装丁鈴木成一デザイン室
装画吉田雨水
河出書房新社 / 2025年
文学・評論