
和菓子と珈琲という、ささやかな取り合わせを軸に綴られた一冊。一見交わらない二つの嗜好品を並べて眺める作家の眼差しが、暮らしの細部に宿る情趣を静かに掬い上げていく。表紙は版画のような白と灰の掠れた筆致を背景に、左右で向かい合う二つの横顔が山吹色の髪でぽつりと立ち上がる。画面中央に縦組みで据えた明朝の題字が、滲みと余白のあいだに穏やかな重心を置く。日々の対(つい)を、一枚の絵としてそっと差し出すような佇まいの装い。

著平野紗季子
装丁大島依提亜
装画Alexis Ralaivao
新潮社 / 2024年
暮らし・健康・子育て