
1日5分の恐怖体験」を掲げる書き下ろしの怪談集。短い物語をめくっていくほど、こちらの平静が静かに削られていく。表紙は日めくりカレンダーを模した意匠で、白地に薄墨のような滲みが落ち、紙の向こうから誰かの手が押し当てられた影が透ける。JULYや29、水曜日といった日付の活字が正像と反転像で交差し、タイトルだけが朱色で浮かび上がる。一枚をめくる何でもない所作のすぐ裏側に、見てはいけないものが控えている気配を、紙一枚の透けに託している。

著工藤純子
装丁坂川朱音
カバー写真田中達也+MINIATURE CALENDAR
講談社 / 2023年
文学・評論