
東日本大震災を背景に、生者と死者、残された者と消えた者のあいだに引かれる見えない線を問う長編小説。白い余白を大きくとった表紙の中央には、赤い布のような塊から白い薄布がほどけ流れ出す写真が据えられ、「境界線」の三文字と「boundary line」の小さな欧文が静かに重なる。周囲には金色の細い縦組み文字が淡く配され、書名を取り囲むように「生者と死者」「残された者と消えた者」の言葉が浮かぶ。鮮烈な赤と透ける白の対比が、こちらと向こうをわかつ揺らぎを視覚に翻訳している。

著伊吹亜門
装丁坂野公一
装画水沢そら
小学館 / 2024年
文学・評論