文学・評論
瑕疵物件ルームホッパー 但し、幽霊在住に限ります
響野夏菜
瑕疵物件——いわく付きの部屋を渡り歩く青年の物語。タイトルが示すのは事故物件の住人としての幽霊たちと、彼らに寄り添う生者の交感だろう。表紙は、薄暗い水底のような青の中に金色の光が差し込み、橙色の魚影が群れて泳ぐ幻想的な構図。中央に立つ少年は俯きがちで、現実と異界のあわいに身を置いているように見える。下部には鮮やかな青の帯が巻かれ、白抜きの惹句が水面を切るように走る。閉じた部屋の暗さと、そこに射す救いの光。装画と色彩が、物語の主題をそのまま視覚へ翻訳している。