
夜更けの住宅街に明かりを灯す一軒のレストランを、ひとり佇む人影が見つめている。家族をめぐる記憶や距離を描いた一冊なのだろうか、ページの外側まで余韻を残す静けさがある。深い緑と橙の対比、窓からこぼれる暖色の光、点々と続く提灯のようなあかり、やや俯瞰した構図が、内側の団欒と外側に立つ者の隔たりを浮かび上がらせる。白抜きのカタカナに添えられた筆記体の英字が、ノスタルジックな夜の温度をそっと引き締めている。

著ConradJoseph、高見浩
装丁新潮社装幀室
装画影山徹
新潮社 / 2022年
文学・評論