
前作『包帯クラブ』から十六年ぶりに紡がれた長編。悲しみがあふれた世界で、戦わずに大切なものを守ろうとする六人がふたたび動き出す物語が描かれる。表紙は淡い水彩と細い線描による街角の情景で、空に小さな鳥影が散り、二人の若者が並んで立ち尽くしている。縦組みの和文タイトルに斜体の欧文が斜めに交差し、黄色い帯の赤い文字が小さな声のように添えられる。傷ついた場所にそっと布を結ぶ物語の温度が、淡く澄んだ画面の余白に静かに息づいている。
著岸本佐知子
装画クラフト+エヴィング商會[吉田篤弘+吉田浩美]
筑摩書房 / 2019年
文学・評論