無人の博物館に閉ざされたヴィーナス像の話し相手として雇われた女性をめぐる物語。閉館後の館を舞台に、孤独と関係性、コミュニケーションの揺らぎを描いた長編小説。カバーには、淡い珊瑚色の壁と木目の扉、緑のカーテンが垂れる室内を描いた絵画が用いられ、中央には白い柱状の像、卓上には石膏の手と赤い小鳥が静かに置かれている。シュルレアリスム絵画のような奥行きと不穏さを湛えた構図に、縦組みの明朝でタイトルと著者名が落ち着いて重なる。物語に流れる静けさと、語られないものの気配を、絵の中の沈黙がそのまま映し出している。