
タイトル「ラプソディ・イン・ラブ」と、中央に据えられたヴィンテージの映画用フィルムカメラから、銀幕や記憶にまつわる愛の物語が想像される。クリーム色の地に明朝体のタイトルが置かれ、中黒の位置に灯る小さな赤い丸が、文字のリズムを音楽的に区切っている。木製の三脚と金属のカメラ本体が淡い影を落として静かに佇み、文芸文庫らしい余白の取り方が装置の存在感と物語の予感をともに引き立てる。被写体ではなく被写体を捉える側を表紙の主役に据えた構成が、タイトルの語感と静かに響き合う一冊。
著桂望実
装丁高柳雅人
装画Jiwoon Pak
光文社 / 2022年
文学・評論