
オーストラリアの草原に暮らす有袋類・ウォンバットの不思議な生態を、現地で研究を続ける著者が綴る一冊。立方体の糞、時速40kmで走る脚力、硬いお尻といった奇妙な事実の数々が、研究者の視点から解き明かされていく。鮮やかなオレンジを地に、植物や鳥のモチーフで縁取られた額縁の中に、ふっくらと毛並みを描かれた一匹がたたずむ。図鑑的な細密描写と装飾的な枠組みの組み合わせが、博物学の古い挿絵を思わせる風合いをまとっている。素朴な生き物を、丁寧な観察の眼差しで包み込んだ装丁。
著宮崎智之
装丁古屋郁美
晶文社 / 2022年
文学・評論