画家・小説家として、また「いのっちの電話」の主として声を受けとめ続ける坂口恭平の営みを、若い書き手が一冊の評伝として読み解いた論考。副題「SHELTER FROM REALITY: THE ARCHITECTURE OF VOICES」が、その射程を端的に示す。表紙中央には、淡い黄色と青を基調にした水彩の小さな粒が線で結ばれ、地図とも細胞ともつかぬ群島のような図像が浮かぶ。広い余白に細い明朝の和文タイトルを散らした構成が、騒がしさから距離をとって声に耳を澄ます書物の姿勢を、そのまま装丁に置き換えている。