
江戸を舞台に語り継がれる怪異と人の業を綴る、変調百物語シリーズの八作目。生と死の狭間でこぼれ落ちた声を、聞き手が受け止めていく一夜限りの語りが束ねられている。淡い灰の地に、ぽつりぽつりと白い妖たちや小さな影が浮かび、中央には黒く塗り込められた塊が鎮座する。タイトルは太い朱の筆致で縦に大きく置かれ、漫画的でやわらかな絵柄と相まって、怪談の禍々しさを和らげながら漂わせる。怖さの輪郭をあえてぼかし、語りの温度ごと包む装いとなっている。

著宮藤官九郎
装丁福島よし恵
KADOKAWA / 2013年
エンターテイメント