
沖縄を舞台に、土地に根ざす神話と人々の営みを描いた連作。琉球の民俗的世界観を背景に、島という共同体の輪郭を物語の力で「統ばる」=束ねていく一冊である。カバーには長い黒髪をまとった少女が大ぶりの葉を頭上にかざし、こちらを見据える姿が水彩のにじみで描かれる。深い緑と透明感のある青の階調、点在する白い飛沫が湿った熱帯の空気を伝え、タイトルの黒い明朝活字が画面右に静かに添えられる。神話と現実の境を漂うような図像が、島の物語に通じる入り口になっている。

著渡辺淳子
装丁鈴木久美
装画マメイケダ
光文社 / 2020年
文学・評論