
彼岸花の咲く屋敷を舞台にしたミステリ。タイトルが示す「二重」のモチーフが、登場人物の関係や事件の構造へと静かに引き込んでいく。カバーには、視線をこちらへ向ける少女と、反転するようにうつむく少女が向かい合わせに配置され、その間を縫うように赤い彼岸花が一輪据えられている。墨を流したような暗いグレーの背景に、タイトルの欧文と縦組みの邦題、著者名の赤帯だけが鮮烈に浮かび上がる。鏡像のような構図と一点の赤が、表題の「double」を視覚そのものに翻訳している。

装丁関口信介
カバー写真榮榮&映里
文藝春秋 / 2014年
文学・評論