
アダルトビデオ業界で生きる女性たちの倫理と日常を、性と生のあわいから見つめる作家の小説。深い赤を背景に、白く抜かれた女性の顔が大きく据えられ、その上を黒い縦縞が幾筋もまっすぐに落ちて視線の一部だけを覗かせる。仮面のような匿名性と、隙間から差し向けられる眼差しの強さが同居し、隠すことで露わになる輪郭を提示している。タイトルは縦に大きく置かれ、装画の硬質な平面性と呼応する。優雅さを欠いた現実と、それでも崩れない芯を、抑制された二色の構図が静かに引き受けている。
著三津田信三
装丁関口聖司
文藝春秋 / 2016年
文学・評論