
水しぶきか雨粒のような白い丸が画面いっぱいに散り、制服姿の人物たちが校舎を背に駆け抜けていく一冊。タイトルが示すささやかな違和感と、青春の只中にある身体の感触が重なる。表紙は水彩のにじみを生かしたイラストレーションで、淡い水色と若葉色、夕刻の橙が溶け合う。タイトルは丸みを帯びた手描き風のカタカナで青く置かれ、その下に斜体の英題と明朝の著者名が静かに添えられる。視界をぼかす光の粒が、記憶のなかの一場面のような距離感を生んでいる。
著内堀優一
装丁アフターグロウ
装画槇えびし
KADOKAWA / 2016年
文学・評論