
夢に向かって走り続ける人々の姿を、ケーキ作りの現場に重ねて描く一冊。「We keep running towards a dream」の英文が添えられ、菓子作りに賭ける情熱が物語の核にあることを示す。表紙では、巨大なチョコレートケーキを舞台に少年少女が並び立ち、片や大きなパレットナイフを、片や泡立て器を抱える。オレンジの輪切りやベリーの鮮やかな差し色、頭上に渡されたガーランドが祝祭の気配を運び、淡い背景と手描き感のある描線が物語に柔らかな温度を与えている。甘やかな道具立ての奥に、ひたむきな挑戦の手触りが息づく装丁。

著望月麻衣
装丁bookwall
装画いとうあつき
ポプラ社 / 2023年
文学・評論