
20世紀初頭のフランスで子どもたちに語られた、老いた鰐の数奇な生涯を描く物語。原題は「HISTOIRE DU VIEUX CROCODILE」。横長の判型いっぱいに、青い水面と緑の岸辺、茶色い土の上で大きく口を開ける漆黒の鰐がシルエットとして配される。白い歯と一点の黄色い瞳だけが闇から浮かび、輪郭線を抑えた色面構成が絵物語の素朴な調子を保ったまま、どこか不穏な気配を画面に宿す。色数を絞った平面的な装画が、寓話の語り口とよく響き合っている。
著古川日出男
装丁佐々木暁
装画松本大洋
河出書房新社 / 2024年
文学・評論