
古い日本家屋の薄暗い土間に立つ少年が、首を後ろに反らせるようにして天井の梁を見上げている。足元には数匹の猫がそれぞれの方向を向き、上方の梁の上にもこちらを覗く猫の姿がある。怪談えほんシリーズの一冊で、見えるものと見えないものの境界をめぐる物語を予感させる。表紙は緑がかった暗い茶を基調にした絵画タッチで、天井の闇の重さと少年の青いシャツだけがぼんやり光を帯びる。手書き風のたよりない白文字でタイトルが縦に置かれ、視線を上へと導く構図そのものが、画面の外にいるかもしれない「何か」の存在を静かに示している。
装丁アルビレオ
装画柳智之
albireo / 2013年