
ほおづえをつき、どこかうわの空で腰かける少女の一枚絵が表紙を占める一冊。眼鏡におさげ、緑のパーカーとピンクのレギンス、黄色いスニーカーという鮮やかな配色が、白い余白のなかにぽつんと浮かび上がる。視線はどこか気だるく、明るい色のなかにも内側に何かを抱えた佇まいがにじむ。タイトルと著者名は細い縦組みで控えめに添えられ、画と文字のあいだに静かな間が生まれている。色のひとつひとつが小さな粒として残り、思春期の輪郭をそっと描き出す装丁。

著三浦哲哉
装丁宮古美智代
装画長崎訓子
講談社 / 2021年
文学・評論