文学・評論
小倫敦の幽霊 居留地同心・凌之介秘帖
平谷美樹
明治初期の築地居留地を舞台にした、同心・凌之介の活躍を描く時代ミステリ。和洋が混じり合う「リトル・ロンドン」と呼ばれた一画で、文明開化の影に潜む怪事件と対峙する姿が綴られる。表紙は紫から藤色へと沈むトワイライトを背景に、刀を帯びた若侍が煉瓦造りの洋館とガス灯のある街路を見やる構図。和装の人物と西洋建築を一枚に収めることで、時代の境目に立つ主人公の輪郭が浮かび上がる。タイトル文字は明朝体で大きく配し、霧めいた紫の空気が題名の「幽霊」を静かに引き寄せる。