
寿司をめぐる33人のエッセイを束ねたアンソロジー。特別な日の握りから回転寿司まで、書き手それぞれの距離感で「ごちそう」が綴られる一冊である。表紙は淡いベージュの地に、白抜きの明朝でタイトルを縦に大きく配し、中央には透明感のある水彩で描かれた盛り合わせの一皿。鮪や雲丹、玉子、巻物が筆致を残したまま並び、印刷物特有の艶を抑えた発色が、食材の生々しさよりも記憶のなかの味わいを想起させる。穏やかな地色と絵筆のにじみが、語りの温度と静かに呼応している。

著MillhauserSteven、岸本佐知子
装丁川名潤
装画高橋将貴
河出書房新社 / 2016年
文学・評論