
イスラエルの人気作家による、政治的・軍事的緊張のもとで生きる市井の人々を描いた31篇の中短篇集。ファンタジー、奇想、SFから聖書的なモチーフまで、多彩な切り口で不条理と切実な情愛をすくい上げる。淡い黄色の地に、線描の人物たちが断片的に配置される。銃口を向ける手、伏し目の女性、ライターを差し出す指。色を持たない細い輪郭線がそれぞれの孤独を際立たせ、髪や衣服の一部だけに差し色を置くことで、緊張と日常が同じ画面に同居する作品世界へと読者をそっと招き入れる。
著平沢逸
装丁川名潤
カバー写真竹之内祐幸
講談社 / 2024年
文学・評論