
吸血鬼となった少女と、それに関わってしまった少年の出会いを描く、〈物語〉シリーズの起点となる長編。本作はその「涜葬版」として、装いを新たに編まれた一冊である。無人の白い駅構内を背景に、長い金髪を床に広げて横たわる少女と、傍らに膝をついた人物がイラストで描かれ、白いタイルに点々と落ちる赤い水溜まりが静かな緊張を生む。中央に大書された「傷物語」の三文字は朱に近い赤で、「キズモノガタリ/涜葬版」の小さなルビを添える。冷たい構内の白と、髪と血の赤だけで構成された画面が、物語の傷の在りかをそのまま示している。
著日本推理作家協会
装丁坂野公一+吉田友美
装画伊藤健介
講談社 / 2017年
文学・評論