
嵐の夜、孤立した館で起こる連続殺人を描いた本格ミステリ。豪雨で水没していく館という極限状況のなか、探偵と犯人の知略が交錯していく。表紙には深い藍と群青に沈む夜空のもと、白く浮かび上がる西洋館が中央に据えられ、月明かりに照らされた水面が館の足元を取り囲む。タイトルは縦組みの白い明朝体で右側に大きく配され、館の輪郭と空の余白を断ち切るように走る。冷たい光と静かな水面が、これから水中へ沈もうとする舞台の不穏な気配を、そのまま装画の構図に閉じ込めている。

著渡辺淳子
装丁鈴木久美
装画マメイケダ
光文社 / 2020年
文学・評論