
イラストレーター、デザイナー、エッセイスト、映画監督と多彩な領域を横断した和田誠の仕事の「たね」を辿る一冊。くすんだ青を背地に、親指と人差し指でつまんだ一粒のたねを掲げる手が大きく描かれ、誌名「ISSUE」は淡い藤色、書名は白地の箱に黒い明朝で据えられる。線で輪郭を取り、面で塗り分けた素朴な描法と、誌面のような体裁の文字組が、作家本人の筆致を継ぐような落ち着きで響き合う。指先のたねの小ささが、後に芽吹くものへの静かな期待をひとつだけ差し出している。
著SharpeMatthew、柴田元幸
装丁Michiyo Miyako
スイッチ・パブリッシング / 2021年
文学・評論