
流れ着いた島で〈ニホン語〉と〈女語〉、二つの言語が話されていた——芥川賞候補にもなった、新たな神話を立ち上げる長篇小説。表紙には水彩で描かれた二人の少女の後ろ姿が淡くにじみ、足元には彼岸花の赤が群れをなして広がる。上方には海鳥が舞い、奥には青い海と空が透ける。タイトルは明朝体の縦組みで右上に配され、白の余白を大きくとった構成が、未知の島に立つ静かな時間を呼び寄せている。にじむ赤と澄んだ余白の対比が、物語の異界感をそのまま装丁へと差し出す一冊。
装丁野中深雪
装画木内達朗
文藝春秋 / 2008年
文学・評論