
江戸の世を舞台に、「首」をめぐる奇譚を描く連作短篇。第99回オール讀物新人賞受賞作で、不気味さの底に人情の温度が流れる怪奇譚集だ。カバーは黒地に紫の樹影を立て、ちょんまげ姿の侍が抱えるのは生首――しかし蛍光ピンクで刷られたその顔はどこか間の抜けた表情をしており、タイトル文字も同じピンクで縦に大きく踊る。線画調のイラストと限定2色の刷り分けが、怪談の禍々しさを軽やかに反転させ、怖いはずの題材を愛嬌のあるポップさへと着地させている。物語の「快奇」というキーワードを、配色と筆致がそのまま体現した一冊。
著冲方丁
装丁関口聖司
文藝春秋 / 2016年
文学・評論