
図書館司書のもとに現れた一匹の猫が、不穏な過去を語りはじめる——英国の人気エッセイストによる、ユーモアと怪奇が交錯する寓話的長篇。鮮烈な朱赤を背景に、白いウィングチェアへ脚を組んで腰掛けるトラ猫が細密なペン画と淡彩で描かれる。傍らには小さなテーブルと床に積まれた本。手描きの邦題と英題が穏やかな余白を保ち、艶やかな赤地と精緻な線描の対比が、愛らしさの奥に潜むひやりとした気配を静かに立ち上らせている。

著JanssonAnna、久山葉子
装丁藤田知子
装画agoera
東京創元社 / 2015年
文学・評論