
スープを主題にした32皿のレシピとエッセイ。日々の食卓に静かに寄り添う一冊として編まれている。カバー上部に深い黒の帯を置き、その下に湯気の立ちのぼるような白い器の写真を大きく配する。器のなかでは赤く崩れたトマトと刻まれた香草、淡く沈むじゃがいもがやわらかな光を受け、写真の繊細な階調がそのまま装丁の質感になっている。白抜きの細い明朝で添えられた縦書きのコピーは、料理の湯気のように控えめで、黒帯と写真の境を静かに繋ぐ。器の温度を保ったまま、書物として整えられた佇まい。
装丁古谷萌+複写:丸尾和穂
装画長崎訓子
リトル・モア / 2015年
アート・建築・デザイン