
戦後マンガ史を代表する連作「火の鳥」のうち、構想のみが遺された「大地編」を、現代の小説家が物語として立ち上げ直した上巻。砂漠を舞台に、不死鳥と若き男女が交差する叙事詩的な世界が広がる。表紙は上部に朱色の帯を大胆に置き、白く縁取られた力強い書体でタイトルを刻む。下部には橙と黄土の濃淡で描かれた原画をそのまま据え、砂丘と炎の翼が静かに燃え立つ。鮮烈な色面と懐かしい線描の組み合わせが、世代を越えて手渡される神話の熱量を伝える一冊。

著平野紗季子
装丁大島依提亜
装画Alexis Ralaivao
新潮社 / 2024年
暮らし・健康・子育て