
学校や家族、社会のなかで積み重なる小さな無理と、言葉にしきれない羨望や劣等感をすくい取る十四篇。子ども時代の痛みから、大人になっても残る関係の揺らぎまでを、静かな視線でほどいていく韓国短篇集。濃淡の異なる青だけで組み上げた階段群は、出口を探す心の迷路のように広がる。中央の白い縦長の題箋と、小さな光へ手を伸ばす人物を結ぶ構図が、息苦しさのなかに残る希望を鮮やかに示す。抑制した色数と余白が、作品のほろ苦い余韻を澄んだまま手渡す装丁。

著DickPhilipK、山形浩生
装丁土井宏明
早川書房 / 2015年
文学・評論