
長野の山あいで営まれるパン屋「わざわざ」の店主が、販売ひとつから年商三億円規模の店をつくるまでの歩みを綴ったノンフィクション。上半分はクラフト紙のような褐色の地に円窓を切り抜き、雪を残した山並みの前に並ぶ六人の働き手の写真をのぞかせる。下半分は白地に切り絵風の手描き文字でタイトルを大きく置き、黄色い帯と赤丸で囲んだ「年商3億円」のコピーが視線を引き締める。素朴な紙の質感と、市井の商いを語る活字の力強さが、本書の地に足のついた起業譚と静かに響き合う。
著岸本章
装丁吉岡秀典+佐藤翔子+平良佳南子
彰国社 / 2024年
アート・建築・デザイン