
伴侶動物との別れに際し、動物自身は死をどう感じているのか。象がすすり泣くといった事例を手がかりに、動物の感情世界と看取りの心理に迫る一冊。淡い水色の地に、目を閉じた黒い犬をそっと抱きとめる白い手、足元にたたずむ白黒の猫が、輪郭のにじむ版画調のタッチで描かれる。題字は墨書のような手描き文字で、感傷を煽らない素朴な線が選ばれている。下半分を覆うピンクの帯が画面に体温を差し込み、別れの寂しさと、それを抱きしめる手のあたたかさとを、一枚の紙の上で静かに釣り合わせている。
著吉田隼人
装丁川名潤
装画タダジュン
草思社 / 2021年
文学・評論