
ショスタコーヴィチの音楽はなぜ人の心を救うのか——抑圧の時代に書かれた楽曲が、孤独や絶望に沈む人を癒す普遍的な力を、双極性障害と向き合ったBBC音楽番組プロデューサーが自らの経験から解きほぐす。生成りの地に、墨の筆致で奏者たちを荒く描いた装画が広がる。輪郭は震えるように途切れ、線そのものに音が宿るかのよう。タイトルは黒の太い書体で据えられ、帯に走る緑の筆跡が静かな余韻を残す。絶望に寄り添う音楽の手触りを、開く前から感じさせる佇まい。

著Matt Parker
装画ワタナベケンイチ
山と溪谷社 / 2022年
文学・評論