
広告界で知られた書き手が綴る、夏の終わりに揺れる人々の物語。記憶と現在のあわいに立ち上がる東京の風景と、過ぎ去る季節の手ざわりを静かにすくい取る。表紙は青一色の色鉛筆で描かれた街並みのスケッチで、画面右奥には赤白の電波塔がぽつりと立つ。手前の道は紙の白がそのまま残され、その真ん中に小さな犬の影が一匹。題字は太い明朝で大きく置かれ、過剰な彩色を排した余白が、夏の名残のような乾いた光をたたえている。誰もいない街に残されたものの気配が、本の主題とそのまま重なる。

著HenkesKevin、原田勝、大澤聡子、ケヴィン・ヘンクス
装丁アルビレオ
装画芳野
小学館 / 2021年
絵本・児童書