
1歳の子どもとの日々を、父親の視点から綴ったエッセイ集。ベビーカー、小さな靴、おしゃぶり、ロンパース、哺乳瓶、体温計、引き車のあひる、そしてタイトルにも呼応するバナナ──乳幼児の生活を取り巻く道具たちが、緑一色のペン画で白地の上に整然と並ぶ。輪郭線とハッチングだけで描かれたモノクローム的な構成は、図鑑や標本箱を思わせる距離感を持ち、育児の慌ただしさよりも、ひとつひとつの小さなものを静かに見つめ直す視線を感じさせる。手のひらサイズの記憶を、淡い緑の標本として閉じ込めた一冊。

著中濱ひびき、竹内要江
装丁名久井直子
装画牧野千穂
小学館 / 2019年
文学・評論