
よろず請負業さくら屋」シリーズに連なる一篇。教育評論家から持ち込まれた依頼を入り口に、人と街の隙間に潜む事情へと分け入っていく。表紙は、夜の駅とおぼしき構造物を背景に、片耳に手をやる女性の横顔を大きく据えた一枚。青を基調にした寒色のグラデーションのなかへ淡い桃色の髪が差し色のように溶け、線画とドット・網点の重なりが都市のざらついた空気を運ぶ。タイトルは縦組みの白文字で右に大きく流し、副題を細い楕円で囲って静かに添える。冷たい光のなかに浮かぶまなざしが、依頼の向こうにある誰かの輪郭を示しているようだ。
著大西巨人
装丁間村俊一
装画林哲夫
光文社 / 2002年
文学・評論