
イスラエルで書かれたSF・スペキュラティヴ短篇のアンソロジー。ヘブライ語圏で育まれた未来像や思弁の射程を、日本語圏の読者へ届ける一冊である。白地の余白を大きく取った表紙では、青で刷られたカタカナと欧文タイトルが縦横に交差し、文字組そのものが構図の骨格となっている。「シオンズ」と「フィクション」が直角に組まれることで読みの方向が複数生まれ、書影の上に小さな思考の星座が浮かぶ。余白と線的なタイポグラフィが、未踏の地から届く声の静かな広がりを示している。

著伊吹亜門
装丁坂野公一
装画水沢そら
小学館 / 2024年
文学・評論