
霊が視える人々の営むお土産屋さんを舞台にしたシリーズの第三作で、幽霊騒ぎと亡き人の遺した銘菓をめぐる物語が綴られる。夕暮れの店先らしき場所で、エプロン姿のモップを手にした人物と荷物を抱える青年、その奥にもう二つの人影が静かに佇む。青みを帯びた光のなかにエプロンの橙が温度を残し、瓦屋根の和の意匠と現代的な人物描写が同居する。タイトルは縦組みの白抜きで控えめに置かれ、此岸と彼岸が同じ店先で交差する空気をそのまま画面に閉じ込めている。

著望月麻衣
装丁bookwall
装画いとうあつき
ポプラ社 / 2023年
文学・評論