三島由紀夫『金閣寺』をはじめ、戦後日本において金閣寺放火事件がどのように語られ、消費されてきたかを辿る評論。事件を扱った文学や言説の系譜を、エッセイの距離感で読み解いていく。表紙は黒一色のペン画で、燃え立つ炎に包まれた金閣を背景に、学生服姿の二人が向き合う構図。フランス語と英語の吹き出しが画面いっぱいに重なり、犯行声明めいた台詞が手書きで踊る。文庫らしい白地と縦組みのタイトルが、過剰なドローイングを冷ましている。事件をめぐる無数の語りが折り重なる本書の構造そのものを、装画の言葉の渦が静かに映し出している。