一覧に戻る文学・評論花まんま昭和の路地裏に漂う郷愁と、ふとした瞬間に立ち上がる不思議。市井の人々の暮らしを掬い上げる短篇集の文庫版である。淡い水色を背景に、赤いワンピースの少女が色とりどりの花々のなかへちょこんと座り込む装画。白・橙・紫の花弁はマットな塗りで簡略化され、絵本のような平面的な構図のなか、少女の表情だけがやわらかな陰影を帯びる。題字は手書き風の白い細筆で、軽やかに浮かぶ。子ども時代の記憶のあわいに咲く花を、そのまま摘み取ったような一冊。About出版社文藝春秋出版年2008年判型文庫ジャンル文学・評論Credits装丁野中深雪装画松尾たいこ