
人間に育てられた狼の子モーグリが、密林の動物たちのなかで成長していく姿を描いたキプリングの古典。文藝春秋による新訳文庫版で、原作の野生と神話性を現代の読者へとひらく一冊である。カバーは、深い緑に光が射し込むジャングルを水彩のにじみで描き、画面手前に太く横たわる枝の上で、赤い布をまとった少年とその傍らに立つ黒豹を小さく配する。タイトルは白の和文と細い欧文を重ねて静かに置かれ、緑陰のなかに射す光のような佇まいで、原典の持つ寓話の温度を穏やかに伝えている。

著みうらじゅん
装丁鶴丈二
装画たなかみさき
文藝春秋 / 2023年
文学・評論