
神楽坂を舞台に、街に潜む小さな謎をめぐる連作短編集。下町情緒と現代の若い感覚が交差する土地ならではの空気が、軽やかな筆致で綴られる。表紙は朱と紺を基調に、提灯の下がる商店、和傘、千代紙のような花文様を敷き詰めた背景の上に、メガネをかけた若い女性とふらりと横切る三毛猫を漫画的なタッチで配置。タイトルは縦組みの太い明朝で大きく据え、書き割りめいた紙の質感が物語の遊び心を伝える。賑わいと静けさが同居する街の表情が、一枚の絵にそのまま立ち上がっている。
著橘玲
装丁関口信介
装画ゴトウヒロシ
文藝春秋 / 2017年
文学・評論