
戦争の終わりが解放であったとは限らない。記憶も本当の名前も、家族への愛着すらも持ち得なかった当時十歳以下の子どもたちが、戦後の長い時間をどう生きたのか。十か国以上の資料と聞き取りから百人の「その後」を辿った画期的研究。表紙上半分には青と黄、紫が水面に滲むようなマーブル模様が広がり、白地に置かれた力強い和文タイトルと帯の一文「本当の闘いは1945年に始まった」が静かに対峙する。混じり合いほどけない記憶の層と、そこから立ち上がる生の輪郭が一冊に重なる。

著かげはら史帆
装丁根本綾子
装画芳崎せいむ
柏書房 / 2018年
エンターテイメント